まー、なによりもコロナなわけですが。ザーッと思い起してみましょうか。
■江神探偵事務所、頓挫
関西を代表するゲームデザイナー、北条さんの過去タイトル「北条投了殺人事件」と、宮野さんの新規タイトル「宮野華也の迷宮入り事件簿」をゲムマ大阪で並べて出して、そこから推理モノボドゲに絞って色んな作家さんと組んで動くってことで新規ブランド「江神探偵事務所」を擁立した。
僕は実は能力的にはNo.2適正で、誰かのサポートに入る時に最も力を発揮する(イベントとかだとこの立ち回りになるのでとても優秀)のだけども、とんがってる僕をちゃんと御せる人や、自分よりも能力が上の人としか組めなくて、結果いろんな人と組んではうまくいかず今日に至る。それでもやっぱり一人でやれることには(主に生産ペース的な意味で)限界があるし、自分がサブに入った時の動かせるものの大きさも知っているし、何より一人でモノを作るのはさみしいので、今度こそ、自分よりも力のある人たちと組んでやってみようと思ったんですな。
ところが仕事の詰まった宮野さんと調整がうまくいかず結局ゲムマ大阪には間に合わなくなり、「ゲムマ大阪で、大阪のクリエイターと新規ブランドを立てる」という仕掛けが成立しなくなってザ・終了。やっぱり僕は人と組むのは無理だなあと痛感して春先からしょんぼりしました。「江神探偵事務所」のアナウンスはしてしまっていたので、そのまま潰すのはしんどいし、何か打つ手を考えてー。
■マダミスを作ることにする
正月1週間ほどは谷四のギルドさんにいることが多いのだけれど、その期間に店長のありささん、オーナーの大阪さんと話したり、お客さんの遊ぶのを見たりする中で、広い会議室もあるしマダミスをもっと推していけないかなあ、という話をしてて、だったらということでマダミス一本作ることに。
とはいえ、去年の時点で「約束の場所で」をやっていた僕は、自分の知能指数がマダミスを作るのに足りていないことを把握して一度断念しているので、それでも作れるものを模索する必要があった(この辺りは次の日記でメインに書こうと思う)。あと、マダミスほとんど遊んでいない状態だったので、「一回今の段階で作れるものを作ってみよう、それで駄目なら色々勉強しよう」とめくら撃ちで一本作ることにした。マダミスなら、「江神探偵事務所」の顔も立つしね。そうだ探偵役は江神なんちゃらにしよう。
何も調べずに勉強不足の状態で作ることは、既存タイトルとカブったり一周遅れてたりする可能性もあるのだけれど、似ても似つかない要素を入れられることもあるので、時間のある時には一回調べずに作って、駄目だったら今度はがっつり調べて作って、調べずに作ったものの良かった部分だけあとで足す、が僕の中で一番いい作り方。なんだけども今回はなんか適当に作ったら結構いい感じになったので、じゃあもうこれで行くか変に個性的だし、ということで「月落としの木霊」がシナリオ1ヶ月、グラフィック2ヶ月、冊子の勉強(ボドゲばっかり作ってたので本の構成の勉強とかほとんどしてなかった)1ヶ月、丁合1ヶ月くらいで完成した。
■コロナでゲムマ大阪がなくなる
コロナさん大暴れでゲムマ大阪がなくなってしまった。次いで春も。北条投了殺人事件だけはリリースできたけど、コロナのせいで中国の工場がストップしてハコオンナ再販の目処が立たなくなる。フジ印刷がクソ仕事(去年の日記参照。度し難い)やらかしてなければ春にはリリースできたのに裏目もいいところだが、まあハコオンナ関係はトラブルがないことのほうが珍しいので仕方がなーい。
コロナの猛威でお店での売り上げが1/4に落ちる。自粛でお店にお客さん来ない中でも開けててくれることさえありがたい状態だからしょうがない。が、これでは食えない。コロナの影響は全員が受けるけど、データ厨の僕にはコロナはことさらダメージがでかかった。PCゲームから数えるともう20年を超える長い長い同人生活で、ことインディーズの市場やニーズについては誰にも引けを取らない知識と情報を持っている僕は、その積み重ねたデータで未来予想をしたり、市場の溝を見つけて食ってきた。大ヒットは狙って出せるものではないけれど、そこそこの数字はデータで出せるのだ。ところがどっこい、100年ぶりのパンデミックで市場は激変。去年までのデータは見事に役に立たなくなってしまったわけで。何を出したらいいのか全く分からなって途方に暮れたった。
■マダミス公演に勤しむ
データが使い物にならなくなったらどうするか。新しくデータを集めるしかない。というわけで、マダミス「月落としの木霊」をあちこちで公演させてもらって、各地のお店でマダミスの広がり方やコロナ禍の状況を見て回る。
僕が食っていくためには最低1000個は売らなければならず、2000個売れると生活的にはずいぶん楽になる。この数字に届くならマダミスを作り続けられるわけで、市場規模と自分の実力が把握できれば1000個売れるかどうもわかる。結果、ギリギリ1000には届くが2000には(少なくとも市場が大きく拡大しなければ)到底届かないと判明する。食うには厳しい数字だが、今ボドゲはもっと厳しい。マダミスへの継続参戦を決める。
■食えないので親の軍門に下る
コロナで先が見えない中、一番悪いパターンに入ったらどうなるかの想定をして、そこそこの確率で詰んでしまう現状を把握。長男坊なのに20年東京にいて、大阪に戻ってからも実家には戻らず、結婚もせず、勝手気ままな人生を謳歌してきたけれど、それもここまでかと観念する。会社もお店もサークルもそうだけど、経営は、完全に詰んでからでは次の動きは取れなくなってしまうので、そうなる手前で動くのが何より肝要なのだ。
というわけで、ノータッチだったばあちゃんの遺産に貯金とかローンとか給付金とかを足して、実家近くに家を買った。これで生活コストが大幅に下がるので、コロナが2年続いてもそのあとに販売数が回復するならなんとかなるんじゃないか的なところまでは計算が立つ。ただこの遺産を使うということは、以降親と親密な関係が復活してしまうことを意味する。まあ、20年分親孝行しようか。集中力を欠くことは僕にとっては致命的で、故にずっと避けてきた選択肢だが、食えないものはしょうがない。
■ハコオンナ再販
食えないからと実家に戻る舵切りをしたはずが、中国のコロナが真っ先に沈静化してハコオンナ5版がリリースできる運びになって、一転問題なく食えることに。過去の自分を超えられない現実と、完全に判断を誤った感じに呻く。こと判断ミスに関しては引っ越しで8月丸々潰したし明らかにやらかしてる感じで。とはいえまあ、一番悪いケースを見越していた中、経済も上向いてきて(3波の前)、これでしばらく生活的にはどうにかなるのは確定なので、このコロナ禍でありがたいことだと思ったりした。
■車を買い替える
生産数2000を一気に作れるようになると、自分で丁合するよりも工場で一括で出してしまった方がコスト感がよくなるのだけれど、ゲムマ大阪、春がなくなったのとセースルが落ちたことで2000を作れる力がなくなったので、丁合を自分で行い、東京への納品も自分で行く体制が最適解になった。僕は下道が好きで高速が苦手(眠い)なもので、東京までも下道で行って途中キャンプを挟むのだが、月落としの木霊はこれまでのカードゲームに比べ箱が大きくて、車にキャンプ道具と納品物を両方積むことが困難になった。あと、コロナで旅行に行けなくなった親と遠出するのに、愛車R2の後部座席はちょっとしんどい。買い替えを検討する中、積み込み量、後部座席の乗り心地+変な車、という条件を満たす「NBOXスラッシュ」が変すぎて売れなくて生産終了に。変なメカって、市場にある時は売れないのになくなるとみんな急に欲しがるのでどんどん中古市場からもなくなる(プラモとかといっしょだね!)。そんな中手ごろな中古車を発見したので、月落としの売り上げをぶっこんで慌てて手に入れた。
■11月は大不調
月落としの木霊のシナリオとシステムは1ヶ月強で完成したので、同じくらいの期間で次回作を、と10月頭くらいから次に着手。僕はいろいろな諸条件を並べて、それらを満たすものが頭の中に浮き上がってくるのを待つのだけれど、10月の段階で上がってきていたのは鳥人間コンテストが舞台の「水面のイカロス」とラーメン大食い対決の殺人「火纏りの男」の2案。うち後者はプロットがテンポよく組みあがったのでそのテンポを維持して一気に仕上げてしまおうと作り始める。10月末の段階でちょっと遅れて7割が完成。ところが11月頭に旅行の予定を入れてしまっていた。これが致命打。僕は知能指数が低く、複雑なゲームを作る適性がない。マダミスを一度断念したのもこれが理由。だけども、2週間ほど時間をかけて頭の中を特化させることで、一時的に知能指数をほんの少しだけ上げることができる。本気の本気の時にしかやらないのだけど、マダミスに若い子や才覚のある人たちがいっぱいいるのを見た僕は自分の精一杯で勝負したくて、「火纏りの男」をMAXの状態の僕でギリギリどうにかなる複雑な構造に設計してしまったのだ。これが長野への下道ロングドライブと温泉で完全にリセットされてしまった。そうなるのはわかってたんでどうにかこの予定までに終わらせたかったんだけど無理で。戻って2週間でまた頭を研ぎ直して……そしたら今度はGOTOトラベルを使いたくて京都へのツアーに申し込んだ両親が喧嘩して、父親の代わりに僕が行くことに。長野から戻って2週間かかってようやくリスタートしたところなんだよ、旅は駄目だね、と話した直後にお前……とか思いながら。まあ、作家とか理解できない人だから仕方がない。親元に帰るのを選んだのは自分だしね。というわけで、またリセット。2回のリセットで一ヶ月が吹き飛んでしまったりした。ぐぬう。
■というわけで12月
ガチでゲーム作ってる期間以外は「頭の悪い愉快で楽しいエジン君」なわけで、僕もその状態で許されるならそれがいい。楽しくみんなと遊んでたい。でも今どんどん新しい風が吹いてて腕利きが跳梁跋扈しているマダミス戦国時代。フルでやり合える相手がいっぱいいる中、全力で戦わないのなら何のためにこれまで積んできたよ、って話なので、邪魔が入らない限り精一杯で向き合いたいんよね。あらん限りの力で挑んで、それでもあいつらにかなわなかった、と言いたいんです。なのでまあもうちょっと引きこもって、年内には仕上げて年明けからはグラフィック作りながらテストプレイして回れるように頑張ります。僕は戦うのが大好きなのだ。
まー、今年はいろいろ判断がつかず悪手ばかり打ったし、来年もどうなるかさっぱりわからないコロナ禍ですが、みんな大変な中にしては僕は恵まれてる方だと思うので、まずは自分のやれることをやれる限り頑張っていきます。来年はどうにかそれなりの結果を出して、周りを助けられるところまで持ち直したいなあというところで。
さて、まずは残すところの後一ヶ月。頑張りましょうそうしましょう。この状況下、頑張れるだけでも幸せなことで。
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