2021年09月05日

江神探偵事務所のとある一日

「だから、コストかけ過ぎなんですってば。アイテム全部フルCGで、名札まで入れて、それでこの金額で出そうと思ったら一体いくつ売れば元が取れるんですか!」
「えー、開口一番弟子とは思えない非常に厳しい一言ありがとうございますー。最低1000売らないとアウトですー」
「なのに量産にも向かないですよね? スリーブにカード入れすぎて指壊した、って、馬鹿ですか貴方は」
「はいー、ついにはマウスも握れなくなりましたー。えー、返す言葉もございませんー」
「そもそも、『これじゃ売れない』ってボツにしすぎです! シリーズの統一感だとか、クオリティだとか、いいんですよもっとアバウトで!! こだわり抜いた結果一年かけて作ってさっぱり売れなかったんですから、もういいですよね? 路線変更です! お客は楽しめればそれでいいんですよ! 作家の芸風とかこだわりとか不要なんです!!」
「えー、あー、昨今、雑誌の編集さんでもそんな手厳しくいわないと思いますー。しがないインディーズ稼業とはいえ私も一応作家なので傷ついてしまいますー」
「自称『負の感情をゲームにするクリエイター』なんですからグズグズ言わないでください。いいですか? そこのノートに書き殴っては放置したネタ、片っ端から使いますよ? 単品でボツになるようなものならセット販売です! ボリューム合わせるのに悩んだりせずどんどん出す! ショートなら週1で一本作れるって豪語しましたよね? 形にすることだけ考えてください! 世界観とかもバラバラでいいんで!」
「えーとですねー、、モノだけ作ってもですねー、グラフィックとかも用意しなければなりませんし……私の3Dポリゴン技術を使えば大抵のものはイラストにできますからー……」
「江神原さん、あなたゲームデザイナーです? それともグラフィッカーです? なんのためにゲーム作ってるんです? グラフィック褒めてもらうためですか? 違いますよね? ボドゲ探偵ですよね? 作ったゲームで楽しんでもらうんですよね? 人唸らせるんですよね? グラフィックがなきゃそれできませんか? 中身だけじゃ勝負できないですか?」
「ぐ……ぇ」
「少人数用ショートで1ヶ月に1本。2本セットで出すなら2ヶ月に1パッケージです。グラフィックは一切なし。ゲームシステム的に変わったことはしなくていいです。このご時世ですからオンラインだけ対応させてください。いいですか? もう後がないの自覚してくださいね? 月落としの木霊も、火纏りの男も、作品としてどうかは知らないですけど商品としては負けたんですから!」
「……ぁぃ」
「しょげて泣き言言う暇があったら手を動かしてくださいね? で、最初のネタはどんなです?」
「えぅ……。あ、あの、館モノの没ネタがあるんでそれで……ボリューム削って調整しましゅ……」
「ボリュームとか気にしないでいいんでとっとと形にすることだけ考えてください! はい! キリキリ手を動かす! 弟子にドヤ顔できるくらいに成果出すまで容赦しないですからね!!」
posted by エジンガー at 01:30| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月10日

EJIN研究所、ゲムマ大阪は出展辞退します

申し訳ない。ゲムマ大阪は出展辞退することにしました。
まあ説明すると長い感じになるんで、以下に徒然と。

■申込当時の状況
申し込みした時は、早ければワクチンが春くらいには……という見立てだったのと、状況的に良い方向になっているならアリかな、という感覚でした。一定数集まらなければ開催が危ぶまれるという話の中で、中止になるくらいなら空席全部買いますよ的なサークルが現れ、そこまで言うなら俺も、的に皆が手を上げて……というのに賛同したノリ的な部分もあって参加申込をした形です。

■ワクチンの遅れ
ところが他国より後手になってしまった結果、手に入るワクチンの量が限定的になってしまい、一般に回るのは秋以降という話に。
基本的に、皆にうつりまくって集団免疫が成立するか、ワクチンで集団免疫を作るかしか対策がない状況下、前者は今の感染率からいって不可能だという話で、ワクチンを待つのみなわけですが、そのワクチンが遅れる以上、節度を守らないお祭りごとは基本ウイルスを広める、今一番やっちゃいけない行動、ということになります。この節度、が難しい線引きです。

■不要不急なら

例えばお店を維持するのに、とか。そのお店を応援するのに、とか、どうしても必要な場合は、わかる。今手を差し伸べないと詰んでしまう状況が今いくらでもあるので、そのために動くのはわかる。あと、映画とか、キャンプとか、リスクが低いことが証明されているものを息抜き的に楽しむのも、わかる。でも、イベントはどうなんだろうか。素手で商品、現金の受け渡し、対話でのゲームの説明、大人数が集まって、列の形成だって2mは維持できないでしょう。リスクが低いとは言えない。久しぶりに会っていっぱい喋るだろうし。

■ゴールは見えている中

いつ収束するかわからない、先が見えていない状況下なら、そんな中でもイベントというものをなくさないための創意工夫をして、道を探すのは選択肢の一つだと思います。ところが今はそうじゃない。ワクチンが出回れば、もとの社会……にはならないにしても自由は手に入るわけで、それ以後でいいものは、今やるべきじゃないんじゃないか?即売会、今必要?という理屈が僕の考えです。
なにより、委託先のショップも通販もあるわけで、わざわざ即売会という形態を選ぶ理由が小さいんです。メリットだった試遊もない。委託すれば利率は下がるし、売れる量も下がるけども、それは即売会を選ぶ理由にはならないのでは。直接売ることでモチベーションが維持できる?とか?気持ちの問題……?

■緊急事態宣言下の開催決定
理解ができなかった点。ゆるんでしまって効かなくなった自粛の歯止めをどうにかしようと最終手段として国から緊急事態宣言を出しているわけで、そんな中、「予定では解除されるからイベントやりまーす!」は趣旨を全く理解していないと言わざるを得ない……と、少なくとも僕は感じてしまいました。これは感じ方様々だと思うし、中止するかどうか発表するとした以上、その日に発表しないといけなかったのだろうし、事情はあるとは思うのだけれど、それにしても、この国で集団生活をしている我々が今最もすべきことは「ワクチンが出回るまでできるだけ時間を稼ぐ」ことで、そのためにどこのお店も飲み屋ですらも歯を食いしばって店を早く閉めて頑張ってる中、解除されても変わらず万全を期すくらいが当たり前の話の中、緊急事態宣言中に言ってはいけなかった……と僕は思うんです。

■コミケが延期
そんな中で、コミケが延期を発表しました。これについては、ゲムマとコミケ、イベントの規模も違うし条件も状況も違うから一概には比較できない話ではあるものの、「オタクイベントの一番大きいものがやらなくなった、でもゲムマはやる」という話になってしまうのは事実です。結果としてオタクというひとくくりの塊の中でもアナログゲームに関しては、意図せず「僕たちもう動きますから。ワクチンとか待てないんで」というポジションに立つことに。
先述の通り、即売会に今絶対にやらなきゃいけない意味はない。旅館や路線が潰れるのをどうにかしたい的なGOTOよりも弱い動機なわけです。それってオリンピックやりたい勢の「オリンピックの火を消さない」と同じポジションなのではないかと。それは……いやだ。

■というわけで
わかりやすくいうと、僕はオリンピックには断固反対できる立場を維持したいので、参加を見合わせることにしました。「だって緊急事態宣言解除されたジャーン!」的ウェーイ勢みたいなセリフを吐くのも嫌ですので。正直、自分の作っているマダミスはオンライン非対応で、人と会わなきゃできないゲームで、商売優先で動くならイベントに喜々として参加して、場を盛り上げる側に回らなきゃいけないとも思いますが、過去に作ったゲームのユーザーさんとかも感染したりしてる中(でも快復した!良かった!)、必然のないリスクを抱えてイベントに参加することは(少なくとも僕にとっては)難しいと感じた次第です。
僕の見立てでは秋になっても、よほど画期的な量産方法が開発されたりしない限りワクチンは十分には一般まで回らず、ゲムマ秋もさほど状況は変わらないと思います。今回参加しないは、秋も参加しないと同義だと思います。今動かないことは向こう一年しゃがむ宣言と変わらないくらいの感覚です。そのくらい、コロナさんとの戦いはまだまだ先は長いです。なので、そんなに待てないしもう動くべき、という気持ちもわかります。
ちょっとしたボードゲーム中の判断です。いつ終わるかわからなかったこのゲームは、4ターン〜6ターン後には終了することが宣言されました。僕は、勝利点的にはこのままの維持で十分ゲームクリアです。勝利点が足りてなくて動く人も、足りててもより加点を目指して動く人もいると思います。皆それぞれの判断で動いていいと思います。ただ、このゲームには開始時からずっと変わらないルールがあって、動く際にサイコロ1の目振ったら自分か、右隣のプレイヤーが死ぬんです。なので本当に気をつけて動いてください。

僕は少なくとも秋までは、外に出るのはマダミスの公演に出向くとか、少人数で集まるくらいの動きにとどめて、せこせこお家でゲームを作って、コロナ後の世界への準備をしていこうと思います。だってこのゲームもう終わり見えてるもん。動くのは、今じゃない。
posted by エジンガー at 10:39| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月02日

実家近くで暮らすようになって

このコロナで、これまでほったらかしててもまあ問題なかった親が旅行とか行けなくなって、ご飯行ったり互いの家に行ったりするようになった。それほど話す機会もなかった親と比較的長い時間を過ごすようになって何より驚いたのが、「楽しい」「嬉しい」の基準が驚くほど低いこと。僕の感覚では少し楽しいかな、というくらいのものが、親にとってはすごく楽しい。何をしてあげても嬉しい。これが何事につけてもで、最初息子補正でバフかかってるのか、楽しいフリでもしてるのかと思ったくらい「楽しい」にズレがある。僕と親は遺伝子情報がとてもよく似ていて、楽しいと感じることも、いやだと感じることもほぼほぼ同じなので、余計にMAX値の差が顕著で。
で、なんでそうなのか考えた時に、僕の場合人生の中で作ることの楽しみを得たのも、色々見えるようになったのも30超えてからで、おそらく同じ遺伝子を持つ親も、もし何かを少しなり成せたり、何かに楽しみを見いだせていたとすればそのくらいの年齢で、その時期って……僕を生んで育ててたんだということに気が付いてしまった。
コロナがなければ親なりの楽しい老後を過ごせていたはずがこんなことになってしまい、まあコロナが過ぎ去るまで問題なく生きてまた旅行にでも行けるようになればいいんだけども、部屋でぼーっと陰鬱なテレビ見るだけの毎日ばかりが過ぎて、まかり間違ってコロナでぽっくり逝ってしまった日にゃなんか不憫すぎないか。新しいものを覚える気もほとんどないし本だって読まなくなったから僕が知っている楽しいことはほとんど伝えられないのだけれど、伝えられる範囲のそれなりに楽しいものだけでも全然楽しんでもらえるなら、この時間にできるだけ伝えて、楽しませたり喜ばせたりしてあげるべきなんじゃないかと。20年東京に行ってて何一つ親孝行もできなかった僕なので、戻って来たこのタイミングでこれなら返すものを返すべきターンなんじゃないかと思ってしまうわけですよ。
ただ、僕にとっては何もいいことはないのだな、これが。集中を遮断されるのは致命的だし(一度切れた集中を戻すのに2週間かかるのに3日おきに親が遊びに来るよ!)、コロナのリスクがあって実家に帰るべきではないという中だけれど、親にそれを説いたところで結局遊びには来てしまうし、テレビで鍋なら大丈夫と言っていたらこちらがどう訂正しても話半分にしか聞いてもらえない。僕が感染したら親もやられる状態やむなし=僕自身がリスクのある行動がとれない=気軽にテストプレイもできない。20年、タダ引きこもって集中する方法と、ひたすらテストプレイを繰り返す方法でやってきた僕にはあまりにあまりな感じで。
で、11月、12月はどうにかならないかと集中を切らさない方法や、もっと早く集中できるやり方を模索したり、親との接触を減らす方法を検討したり、色々足掻いていたのだけれど、どうにもならなかった。むしろ誕生日に電動自転車買ってあげたら弱りかけの足腰が補完されて一層遊びに来れるようになってしまって詰んだ\(^o^)/とても喜んでくれたからいいのだけれど!
とまあ、足掻くだけ足掻いて年明けて、もうこれは諦めようと。
創作活動邪魔されるのが嫌で友達すら片っ端から切ってきたこの僕(実話。なので僕創作関係ない友達いない)がまさかこんな方向転換をするというのは何よりも歯がゆいが、2か月足掻いて何の成果も出せなかった以上仕方がない。今の僕の限界値は自分の能力の限界値ではなく、親含めての値が限界だと認めよう。そしてその戦闘力だと、大阪の僻地からでもたまに一発殴って「僕はここにいるぞ!」と吠えるだけの力は残念ながら出せない。少なくともいつ開けるかわからないコロナ(下手すりゃ5年先だってよ!)が終わるまでは、テストも集中もまともにできないんだから。集中を欠いた普段の僕のIQでは、トリテやコヨーテさえも理解できないんだ。
ということで、これまでは「自分のMAX状態で作れる限界ぎりぎりのスペックの、できるだけ既存の型にはまらないもの」に挑んでいたわけだけども、そういう作り方に関しては次回作「火纏りの男」でいったん終わりにしようと思う。もう8割完成しているからね。まあ元々、そんな作り方自体が無茶で、結果心身共にボロボロにしてきたわけだから、いい潮時かもしれない。得意のマーケティングで危ない橋でもどうにか渡ってこれたけれど、それもコロナで使えなくなったし。悪い言い方をすると「当たり障りのないもの」「計算の立つもの」を作るようにしよう。それなら集中力もさほどいらないし、テストの回数だって少なくて済む。
ただそれは、インディーズでずっとやってきたこの僕の作るべきものか?と言われるとかなり微妙なんだけどもね。もしかしたらそれでもやる価値があるかもしれないのでまずはやってみようということで。やらないで価値云々を言うのは早すぎる話だしね。たぶんね。
年も超えたし鬼も笑わないだろうということで、年明け早々こういう話は嫌だけども、こうやって書いておかないとこれまでの自分にすがりついてさらに時間を無駄に費やしてしまいそうだから、現状を受け入れるために書き記す。うむ。
とにもかくにもまずは「火纏りの男」だ。このタイトルに関しては相当無茶な設計なのでまだまだ苦しむだろうけれど、超えなきゃいけない山はあと2つ(テストプレイ後の大調整とエンディングの新システム)くらいなので力技でどうにかするとして、そっから先で方向転換ってことで。嫌だよう、全力で変なもの作り続けたいよう、と泣き叫ぶ心を押し殺して頑張ろう。やれることをやる!が今年の抱負!!さあ、まずは最後の頑張りだ!!
posted by エジンガー at 01:47| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする